仮想通貨の勉強

仮想通貨に価格決定の理論はあるのか?仮想通貨のバリュエーションの方法を紹介してみる!!

こんにちは、「dApps CryptoAsset valuation」管理人のなおです!
今回は、仮想通貨の価格の動きが乱高下する理由を考えてみたいと思います。

仮想通貨にはファンダメンタルバリューがないと言われます。

<<2018年4月14日追記>>

すみません、ファンダメンタルバリューがないと言われる、というのは少し言い過ぎでした。株式のバリュエーションのようにその会社の将来キャッシュフローに着目して、ファンダメンタルバリューを捉えるということが仮想通貨には少し馴染みにくいという議論が当初はありましたが、現在ではフィッシャーの交換方程式を援用することで、理論的な価格を求めることができるのではないかという議論が趨勢をしめつつあります。

以下もこのような観点で読み替えていただけると幸甚です。

これはつまり、価格決定の理論がない、ということです。

もっと簡単にいうと、なんで今この価格なの?ってまじで聞かれた時に、ガチで答えるための理屈がないということになります。

このために、仮想通貨に対して投資する人はノリでやってるとか、雰囲気でやってるので、バブルだ!という指摘があります。

確かに!と思う反面、うーん、本当かな?って思うところもあります。

なぜかというと、株式のファンダメンタルバリューだって一応は理屈はありますが、まじでそうなの?って考えると怪しい部分はあるからです。

実際、株式の価格は将来キャッシュフローの確率密度関数の積分によって求めることができるはずですが、それだって、実際にはどうなのかって思うところはあります。

ですので、今回は、現在存在している仮想通貨に関するバリュエーションの種類について紹介してみたいと思います。

それでは行ってみましょう!!!

仮想通貨の価格決定についての理論ってないのかな?

仮想通貨のバリュエーションに関するブログの紹介

仮想通貨に関する価格決定の理論について何か言及したサイトないかなーと探したところ、mediumに以下の論考がありました。

ブログのエントリーにしてはしっかりとした文章だったのでここではこれに沿って価格決定の理論について学んでみたいと思います。

blockchainatberkeley.blog

なお、このブログの著者は現在MBAコースを受講している大学院生の方のようですが、同時に会社の経営にも参加しているようなので実務と理論の両方をわかっているのでしょうな。

本ブログでは以下の9つの仮説を検討しています。

ブログの結論部分を読むとわかるのですが、いずれも完全には説明をしきれていないことを言及しています。

しかし、なおとしては中でも9番目のCrypto-networks as small emerging economiesについては興味深いものとして今後に期待できるように思っています。

というのも以下で説明していきますが、なおも仮想通貨やブロックチェーンあるいはスマートコントラクトなどは新たな国家を作ることになるプロトコルであると認識しているからです。

ここら辺の議論は、

で記述していますので参考にしてください!

それでは順番に説明していきますね!

これは「仮想通貨はなんらかの価値を保存する手段として存在するのだ」と考えることから始まります。

さらにいえば、価値保存の手段としての通貨というのは、通貨自体に価値がないとしても問題なく、エコシステム内で受け入れられて信頼されているのであれば問題ないはずです。

そのような価値保存の手段として、この世界では、ゴールド(金)があるとします。

そこで金の価値から演繹的に仮想通貨のバリュエーションもできると考えるテーゼとなります。

ブログでは、1BTC当たり380,000ドル(日本円にして、約4000万!)ではないかと言っています。

この議論の穴としては、あらゆる仮想通貨に当てはめ可能な議論ではないことです。

おそらく価値保存の手段として使えるのは現時点ではビットコインくらいでしょう。

それ以外の仮想通貨については使用できない点に理論としての限界がありそうです。

もっとも、ビットコインはすでにゴールドと同じ位置付けであるとする論者も多いので、一考に値する議論であることには間違いないでしょう。

トークンの流通速度テーゼ

これは経済学で言うところの貨幣の流通速度に関する議論を演繹しているものでしょう。

貨幣の流通速度に関してはここで深追いすると本当にブログが書き終わらないので笑、省略しますが、簡単に述べると、「貨幣量×流通速度=価格×取引量」という交換方程式が成立するとしたアーヴィング・フィッシャーが定式化した古典的な貨幣数量説をベースにする議論です。

ここで価格としているのは物価のことをさします。

まあ詳しく説明していくと、現在のアベノミクス*1も結局はこの貨幣数量説をベースにしているので、機会があればこの辺りも説明したいとは思いますね。

と、まあ、アベノミクスは置いときましょう笑。

で、そうそう!仮想通貨のバリュエーション!笑。

交換方程式を見ると、流通速度は価格に影響を与えることがわかります。

つまり、流通速度が上昇すれば仮想通貨の価格は上昇し、逆に流通速度が下落すれば、仮想通貨の価格は下落します。

なんとなく、ほおお、という感じもしますが、理論の欠点についてはすでにブログの中で著者も認めています。

それは、流通速度ってどうやって測定するの?しかもそもそも定義すら難しいよね?ってところです。

さらに言えば、貨幣量のところや取引量のところも同様に定義や測定の議論がありうることを認めています。

ですので着想としてはいいかもしれませんが実務ではワークしそうにないかもです。

ここ、訂正します笑

実務で実際にバリュエーションを行う際は難しいのかもしれませんが、概念としてはかなり重要です。

要は別稿で議論はしますが、流通速度を下げる工夫がdAppsの中にないとバリュエーションは必然的に低くなります。

この点を理解することはとても重要となります。

INETおよび仮想通貨に関するJカーブ効果テーゼ

まず、ここでの「INET」というのは議論を提供するChris Burniskeという方が説明をする上で措定した架空の仮想通貨です。

上記の「貨幣量×流通速度=価格×取引量」という交換方程式が成立することを前提として、トークン価格は二つの要素に分解することが可能であると考えます。

トークン価格の二つの構成要素は

①current utility value (CUV)②discounted expected utility value(DEUV)

の二つです。

最初の「current utility value (CUV)」は、現在の利用価値と訳せばいいのでしょうか。仮想通貨自体を現在利用するとどのような価値が存在するのかを金額的に表したもの、と考えることができると思います。

次に「discounted expected utility value(DEUV)」は、期待される利用価値を割り引いたもの、と訳せるのでしょうが、意訳すると、将来利用価値の割引現在価値、ということになりそうです。

つまり、いま現在すぐに使うとこれだけの価値があるということに、将来使うとこれだけの価値がありますけど、それを今の価値に直すとこんだけの金額になりますよ、を加えることで、仮想通貨の金額は構成されると考えるという理論です。

前者は、純粋な意味での利用価値でしょうが、後者はどちらかといえば投機による価値と言えると思います。

Crypto-Jcarve
Crypto-Jcarve効果の表現した図です。

引用元:

Chris Burniske and Joel Monegro, “Placeholder Thesis Summary”

https://ipfs.io/ipfs/QmZL4eT1gxnE168Pmw3KyejW6fUfMNzMgeKMgcWJUfYGRj/Placeholder%20Thesis%20Summary.pdf

この図は、ホワイトペーパーの段階ではほぼ価値は0であるが、リリースが開始されると一気にグッと価値は上昇します。しかし、すぐに下落が開始され、長い期間をかけて徐々に上昇していくとことを示しています。

IPO<をした株式も同じような曲線を描きそうですよね。 当初はDEUVが大きいためにバリュエーションは上昇するけども、IPOの後にはその期待を含めたバリュエーションは少し落ち着きます。その後開発が順調に進むことで、バリュエーションは再び上昇することになります。 これは、開発が進むことによりCUVが大きくなることによるものでしょう。 このようにJを逆さまにしたような価格曲線を描くことから、Jカーブ効果と読んでいるようです。

加筆!

このINETについては興味深かったので、追加で以下のブログを読んでみました。

同じくChris Burniskeさんのブログになります。

ここで、Chris Burniskeさんはバリュエーションの仕方を以下の4ステップにより実行する方法を紹介しています。

Chris Burniskeさんのバリュエーションの仕方

①浮動トークンの数を計算する

②交換方程式によりプロトコルの経済規模を計算する

③ターゲットとするマーケットの中におけるクリプトアセットの採用割合を求める

④将来の利用価値を現在価値に割り引く

順番に説明してみたいと思いますね!

まずは、①浮動トークンの数を計算する、ですが、なぜ浮動トークン数を計算する必要があるのでしょうか。

それは、

次に②の交換方程式によりプロトコルの経済規模を計算すると、ありますがこれは

MV=PQを変形して、

M=PQ/Vとして、PQについては、まさに通常の株式評価の際に用いられるDCF(ディスカウントキャッシュフロー法)と同様なイメージです。

要は、将来のキャッシュフローを見積もるのと同じように、将来のそのdAppsが提供するサービスなどの取引額の総額を見積もることで、計算します。

例えば、イーサリアムであれば、GASを使うことでイーサリアムが提供するサービスを使うことができますので、このGASが将来どれくらい使われることになるかを想定して、取引額を計算します。

さらに、Vの

実際のマクロ経済学では、MV=PQのうち、PQはGDPで把握しています。

この点、クリプトアセットのバリュエーションでは、GDPはそのまま使えないので、どうするのか問題が発生しますが、PQは対象となるクリプトアセットのオンチェーン上に記録された取引金額とすることで問題なくバリュエーションができます。

最後になりますが、Chris Burniskeさんのこちらの著書がおすすめです。

なおも購入し、読んでいるところです。

Cryptoassets: The Innovative Investor’s Guide to Bitcoin and Beyond

NVT(Network Value-to-Transaction Ratio)

これは、ネットワーク上のオンチェーンでの取引量とネットワークにおける価値を比較するバリュエーションの率のことです。

株式でのP/Eレシオの発想を参考にしているものであり、要はその時の市場での価格とオンチェーンで処理された取引量には一定の相関関係があることを前提にして、仮想通貨の価格を決定する方法です。

この方法の留意点はオンチェーンにおける取引量がその仮想通貨の利用者数を表す場合に最も適するということです。

例えば、ビットコインのオンチェーン上の取引量は国際送金のコストが低いことに起因した利用価値をユーザーに提供していることを表しているのでビットコインについては適用可能と言えるでしょう。

しかし、MoneroやZCashなどは秘匿性が高いコインであるため、NVTによるバリュエーションには適さないですね。

もっとも、この方法による欠点としては、価格自体が取引量に影響を及ぼすことでしょう。つまり、因果が一方通行ではなく、両者は再帰的(どちらもに影響を及ぼすもの)なのです。

この点が、NVTの脆弱なところと言えそうです。

Daily active addresses/users (DAA)

これはアクティブアドレス、アクティブユーザーの数がネットワーク上の取引量に関する情報を補完してくれることから、上記で紹介したNVTを利用する際にも利用可能となるものと言えます。

ここでデイリーアクティブアドレスとは、その日に取引をしたアドレス、つまりビットコインなどに付与されているアドレスの数のことです。

すごい簡単に言ってしまえば、たくさん利用されている仮想通貨とそうではない仮想通貨の価値って、前者の方がでかいよね?っていうことが根っこに存在していると思います。

仮想通貨に関するCAPM(資本資産価格モデル)

CAPMはCapital Asset Pricing Modelの略です。日本語訳では資本資産価格モデルと呼ばれることが多いようです。それ以上にそのままCAPM(キャップエム)と言われることのほうが多いです。

CAPMを仮想通貨のバリュエーションをそのまま用いることは厳しいので、仮想通貨に関連する様々な他のファクターを考慮に入れて、計算するのであれば、応用可能ではないかということを主張しています。

ディスカウントキャッシュフロー法(DCF)

一般的に言って、DCFを仮想通貨のバリュエーションに適用することは厳しいと言われています。これはDCFの仕組みを考えると一発でわかります。

ディスカウントキャッシュフロー、つまり将来キャッシュフローを割り引くことで、現在価値に直して、評価額とする方法です。なので、DCFで評価することができるのは、そもそもキャッシュフローを生み出すことができる資産に限られることになります。

この点、仮想通貨はそれ自体がキャッシュフローを生み出すことは基本的にはありません。

あくまでも通貨であるため、 交換価値*2しかないからです。

しかし、特定の仮想通貨であれば、それ自体がキャッシュフローを生み出すと考えることが可能と考えることもできるかもしれません。

そのように考えて、ブログでは二つの事例を紹介しています。

  • 配当の支払いが生じることが期待されるようなequity token
  • 仮想通貨を持っていることで、新たな仮想通貨をもらうことができる場合

この二つのようなケースについては、通常のDCFの通りとはできないとは思いますが、少し調整することでDCFの利用をすることができるかもしれません。

マルチプル(類似会社比較法)

株式評価の場合はなどは評価対象の会社と同業の会社における評価額を参考にすることがあります。これをマルチプルと言ったり、類似会社比較法と言ったりします。

この類似会社比較法を仮想通貨に適用してみようというのがここでの試みとなります。

現在仮想通貨あるいはブロックチェーンを用いたトークンエコノミーでは、様々なサービスを展開していますが、中には類似のサービスを提供しているケースもあります。

すでにアメリカで展開しているようなサービスを日本でも展開する、と言った場合は該当します。

その場合は評価対象ではない類似サービスにおける評価額を参考にすることでバリュエーションを行うことができるのかもしれません。

Crypto-networks as small emerging economies

タイトルをそのまま英語としたのですが、和訳すると仮想通貨ネットワークを小さい新興経済圏と捉える方法、みたいな感じでしょうか。

コンセンサスプロトコルは国家の憲法みたいなものだし、仮想通貨内のコミュニティは選挙区に類似しているとも考えられます。

コア開発者はコードを実行する執行部コミュニティによって承認され、投資家は通貨を引き受け、他の通貨や投資に対して相対的な魅力に応じて投資します。

仮想通貨と国内通貨の両方について、投資家は健全な金融政策、良好なガバナンス、低腐敗(「持つ価値がある」)、低い不平等、生産性などを探します。

おそらく、エマージング市場の投資における基本的な指標から引き出される、「仮想通貨マクロ経済的魅力」指標またはトークンに適用可能な指標のセットを考案するためにエコノミストと協力することができます。

終わりに

仮想通貨のバリュエーションについて説明してきました。

どうでしたでしょうか??

少しわかりづらい面あったかと思います。

その辺りは今後少しずつリライトしていきますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

そして、次に読むべきものは

Cryptoassets: The Innovative Investor’s Guide to Bitcoin and Beyond

ということがわかりました。

あるいは、上記で引用した

https://ipfs.io/ipfs/QmZL4eT1gxnE168Pmw3KyejW6fUfMNzMgeKMgcWJUfYGRj/Placeholder%20Thesis%20Summary.pdfn

あたりが重要なのかなと思います。

やはりアメリカのほうがなんでも進んでいるなあ・・・。

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*2:交換価値の議論はもう片方の概念を理解するとわかりやすくなります。それは使用価値です。使用価値とは、対象となる資産を使用すること自体に価値があるというものです。例えば、食べ物。これは食べることで栄養を吸収することが可能となりますのでそれ自体に価値が内在していると考えることができます。他方で、交換価値。これは交換することができるために価値があるというものです。典型例は金(ゴールド)です。ゴールドは使用価値もありますが交換することで価値を生み出すものです。