こんにちは、「投資としての仮想通貨」管理人のなおです!
前回は、仮想通貨に関する税金を学ぶ上での前提となる個人所得税の基礎について整理を行いました。
そこで、今回はいよいよ、仮想通貨の税金について解説を行いたいと思います。
まずはこれを再度みてください。
- 0.サマリー
- 1.仮想通貨の売却
- 2.仮想通貨での商品の購入
- 3.仮想通貨と仮想通貨の交換
- 4.仮想通貨の取得価格
- 5.仮想通貨の分裂(分岐)
- 6.仮想通貨に関する所得の所得区分
- 7.損失の取り扱い
- 8.仮想通貨の証拠金取引
- 9.仮想通貨のマイニング等
Contents
0.サマリー
まずは、仮想通貨に関する税金について知っておいた方が良いポイントについてサマリーします。
①仮想通貨の換金では
「買った時の価格と売った時の価格の差分が課税対象」
②仮想通貨と商品、仮想通貨間の交換では
「仮想通貨を売却して、法定通貨に換金して、その換金された法定通貨で商品あるいは異なる仮想通貨を購入したと考える」
③購入の都度平均値を求める移動平均法と年間分をごそっと計算する総平均法の選択ができるけど、一度選択すると継続しなきゃだよ!
④ハードフォークはタダで仮想通貨をもらったのでもらった時点では課税されないよ。
⑤だけどマイニングはされるよ。
の5つのポイントを押さえておくことが重要と考えます。
以下では、目次にそって順に解説を行っていきたいと思います。
1.仮想通貨の売却
これは正直一番わかりやすいかと思います。
要は、仮想通貨を売却したので、
買った時の価格と売った時の価格の差分が課税対象
となるよ、と。
国税資料では2,000,000円で4BTCの購入をしたとあるので、1BTCあたり500,000円ということになります。また、売却した分である0.2BTCあたりでは100,000円となります。
そして、これを110,000円で売却したとあるので、所得の金額は10,000円になります。
このことは感覚的にもわかりやすいものと思います。
買った時に支払った金額と売った時の金額の差分が所得になる。
特に異論はないかと思いますね!

2.仮想通貨での商品の購入
これは、商品を購入する際の対価として、仮想通貨を使った場合に、その仮想通貨に含み益がある場合はその含み益分が所得金額になりますよ、というものです。
ポイントとしては、
仮想通貨を購入したときの価格と商品の価格との差分
が所得金額になるというところでしょう。

これも特に違和感ないかと思います。
というのも、
1.仮想通貨の売却のところで、
買った時の価格と売った時の価格の差分が課税対
になるということなので、
と分解して考えると、仮想通貨で商品を購入したとしても、課税の対象となるということが理解できるかと思います。
3.仮想通貨と仮想通貨の交換
これも上記2.仮想通貨での商品の購入のところの考え方を援用すると、わかります。
ただ、実際の仮想通貨の実態を理解すると実務的にはどうなのかなとは思います。

仮想通貨と仮想通貨を交換するということは、
①まず、仮想通貨を売却して、法定通貨に換金(円)して
②その換金された法定通貨(円)で異なる仮想通貨を購入した
と分解して考えると、仮想通貨と仮想通貨の交換をしたとしても、課税の対象となるということが理解できるかと思います。
ただし、BINANCE(バイナンス)
などに登録して日本の取引所にはないような仮想通貨をたくさん売買したりすると、少しこの計算方法が現実的なのかどうかについて疑問が生じます。
むろん、今はCryptactなどもあるので、まあそこまで難しくないのかもしれませんが、仮想通貨間の交換については非課税として、仮想通貨とFiat(法定通貨)との交換時の時にのみ課税されるとする方がよいと思います。
この辺りは今後の税制度の改正等があるかもしれないと個人的には思っているところです。
4.仮想通貨の取得価格
今までの説明絵は仮想通貨の取得価格については簡単に算定できるという前提で説明をしていました。
しかし、実際には、年間を通じて何回も仮想通貨を売買している場合に、取得価格をどのように算定すればよいかについては、少し迷うでしょう。
そのための指針として、4.仮想通貨の取得価格があります。
具体的な計算は以下の国税資料に譲りますが、ここで押さえておくべきポイントとしては、
①移動平均法と②総平均法の違い
でしょう。



ざっくりと言ってしまえば、移動平均法は
購入の都度、平均値を計算し直す方法
と言えます。
これに対して、総平均法は
一年間分をごそっと計算する方法
と言えます。
いずれの方法を採用するかは個人の選択に任されていますが、一度採用した方法は継続する必要があります。
5.仮想通貨の分裂(分岐)
いわゆるハードフォークが生じた場合の課税関係を整理しています。
所得税の基本的な考え方として、事実として無償で譲り受けたとしても、その譲り受けた対象に時価が存在している場合はその時価によって譲渡が行われたものとみなして課税がなされるというものがあります。
この点、ハードフォークが生じた場合は、事実として無償で譲り受けが生じたものですし、その時点では取引相場がないために時価も存在しない、という整理のもとで、譲り受けされた時点では課税関係の成立はないものとしています。
他方で、そのハードフォークがなされた仮想通貨がその後に時価が上昇し、売却等をした場合には含み益部分については課税がなされるということになります。

6.仮想通貨に関する所得の所得区分
所得区分について、原則としては雑所得になるが、事業として仮想通貨の取引をしている等の場合は事業所得になる可能性もあるということを指摘しています。
事業所得になるか否かについては明確な基準が存在していないので、一時的な所得ではなく、事業として継続反復しているものであることなどを参照して総合的に判断されるべきものと思われます。

7.損失の取り扱い
仮想通貨の取引で生じた損失のうち、雑所得に該当するものと考えられる部分については、雑所得以外の他の所得とは損益通算することはできないことが記載されています。
ここで、損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
ここで注意すべき点としては、仮想通貨の取引で生じた損益が事業所得に該当する場合は損益通算の対象となるということでしょう。

8.仮想通貨の証拠金取引
FX取引の場合は申告分離課税制度であるので、仮想通貨の証拠金取引も同じかと思いきや、それは違いますよ、ということが記載されています。

9.仮想通貨のマイニング等
マイニングにより獲得した仮想通貨の所得区分について記載がなされています。
ここで注意すべきポイントは、ハードフォークの時は新規の仮想通貨が取得価格0で入手されたとして考えるが、マイニングによって獲得された場合は、新規の仮想通貨ではないと考えて、その時の時価で取得したと考えるという点です。
つまり、マイニングで得た仮想通貨はその時の時価に取得した個数を乗じた金額が所得金額(すなわち課税対象)となり、売却等をした際にはその価格と売却価格との差分が課税される所得金額となります。
