ICO

続!仮想通貨の会計処理(ICOの会計処理)について書いてみるよ!

こんにちは、「投資としての仮想通貨」管理人のなおです!

今回も、引き続きICOの会計処理について検討してみたいと思います。

前回は、メタップスICOに関する会計処理のうち、最初の期末における公正価値評価についての解説を行いました。

関連記事:仮想通貨の会計処理(ICOの会計処理)について書いてみるよ!投資とは直接関係ないけどちょっと詳しいので!

ICO
タップスICOに係るIFRS上の会計処理サマリー

 

今回は上記のうちの二番目について、検討していきましょう!

ICOInitial Coin Offering)に関する会計処理について

(1)メタップスの処理

当社子会社で実施したICOでは、プラスコイン(PLC)トークンを発行いたしました。株式発行とは違い、トークンの販売として取り扱われるため、最終的には収益として認識されます。ただし 、当四半期ではIFRS15の考え方を準用し、ICOの目的を実現するまでは一時的に負債計上し、今後その目的が実現されるタイミングで収益計上する予定です。 

(2)なおの検討

ICOは株式発行とは異なることは理解できますが、それ自体が目的ではなく、あくまでもビジネスを行うための手段としての資金調達であるはずです。

となれば、そのために流入された資金が最終的に収益として認識されることは感覚的にはおかしい感じもします。

しかし、以下のブログを参照すると、現行会計基準では収益として識別されることになることが理解できます。 

medium.com

このブログの著者のグレゴリーサイモンさんは元CPAであり、今は自分の会社のCEOとして経営者として活躍されています。

エントリーでは、現行の収益認識基準をベースにICO(とりわけ後述するutility tokenの場合の処理で)の会計処理をすると、倫理的におかしいことになるケースがあるので、会計処理自体を再考する必要があるとして、警告を鳴らすものとなっています。 

このブログでは、ICOの会計処理はまずその発行するコインがどのようなコインに分類されるかが重要な分岐であるとしています。

その分岐とは①utility tokenに区分されるか、②equity tokenに区分されるか、です。

utility tokenとは、ICOの発行主体である企業等が将来何か財やサービスをコインの引受手に対して提供することが義務付けられているトークンです。SECによる規制の対象外となるようなものです。

他方、equity tokenとは、そのような義務はなく、もっぱら資金調達を目的とするトークンであり、株式や債券などと同じ性質を持つものトークンです。SECによる規制の対象と考えられるものです。

基本的に企業、とりわけ、ベンチャー企業のケースではなるべくSECによる規制などは迂回して、最短で資金調達をしたいと思われますので、utility tokenとして発行することが多いでしょう。

utility tokenの会計処理は、まず、資本に該当しないはずです。何故ならば、SECによる規制の対象外であるからです。要は、株式みたいなものではないから、資本になりようがないというイメージでしょうか。

残りとしては、負債なのか収益なのかですが、それを決するのは、収益認識基準の要件に該当するか否かであるとしています。 

そして、収益認識の基準の要件は以下の5つのステップ*1によります。

<収益認識基準の5つのステップ>

①顧客との契約を認識する

②契約における履行義務を識別する

③取引価格を決定する

④契約における履行義務に取引価格を配分する

⑤企業が履行義務を充足した時あるいは充足するに連れて収益を認識する

utility tokenはこのステップのうち少なくとも①から③は満たすことになるため、収益として認識されることとなります。④と⑤については、収益として認識することを前提にそれをいつ、どれくらい認識するかを決定するステップであって*2そもそも収益として認識して良いのかについては①から③のステップで決定されます。

そして、メタップスの会計処理のうち、重要となるのはステップの⑤です。

一旦負債として計上してから、将来のどこかで収益として認識するというメタップスの主張はこのステップ⑤が関係しています。

つまり、ICO時にどのような履行義務、すなわちメタップスの子会社がどのようなサービスを提供するのか、そしてそれはいつなのか、が決定的に重要になってきます。

ICOの目的が実現するまでは負債計上が継続されるということですので、今後、どこかの時点で収益として認識されるタイミングがくるということになります。

以上で、②のICOInitial Coin Offering)に関する会計処理について、の解説を行ってきました。

まとめると、

ICOにはutility tokenequity tokenの二つのケースが存在する

②会計的に問題となるのはutility tokenのケースであること

③そもそも負債なのか収益なのかということが会計的な問題であること

④収益として認識されるとしても、それはいつなのかが問題となること

が、ICOの会計処理の論点であり、

タップスでは、トークンの販売であることに注目し、最終的には収益として認識されるが、ICOの目的を実現するまでは一時的に負債計上し、今後その目的が実現されるタイミングで収益計上することとしたようです。

今回もなかなか長いエントリーとなってしまいました。

また次回に3個目の処理について解説を行いますね!!!

*1:このステップについてはIFRS、米基準、日本基準と主要な会計基準間で概ね一致しています。

*2:少しわかりづらいと思うので補足します。企業にキャッシュフロー、要はお金が流入してきた際に、入ってきた要因によって①資本、②負債、③収益に分類されることになります。株主からの資本拠出であれば資本となりますし、銀行などの債権者からであれば負債となります。あるいは得意先や一般消費者からであれば売上として収益認識がなされることになります。資本として区分されることは相当限定的ですしある程度明確ですので、一般に問題となるのは負債なのか収益なのかということになります。さらに言えば、負債として一旦は認識されたとしても将来のどこかのタイミングで収益として認識されることもありますので、①負債なのか収益なのかをまずは判断する、②その上で負債に分類されたとしても将来のどのタイミングかで収益として認識される可能性はあるのかどうかを判断することが求められます。